SHINKA
Creative thinkerの住処
SHINKA|Impressive scene
地域の環境・景観・歴史|都市構造との関係づくり
都市構造との呼応
江戸より続く格子状の都市構造から成る東京駅・八重洲東エリア。この地域を唐突に斜めに貫く【鍛冶橋通り】は、現在は戦争の瓦礫処理で埋められ姿を消した八丁堀の側道が元となっている。江戸古地図を重ねるとその由来が見える。本計画地の前面に残る越前掘(亀島川)とともに、ここ新川は江戸時代の掘割が街の個性を担っている。
夕暮れ時、建物の頂部、深い軒裏をほのかに照らし出すと、通りとの関係が際立ち遠方からもその存在が認められる。
身体は土地に据え
顔は都市に向ける
本計画地は角地ではないが、旧八丁堀と呼応した建物頂部の構えが、昼間でも通りからの視認性を促している。この構えはプランニングにも一貫し、コーナーサッシの多用で視線が斜め方向に抜けるよう計画し、これは前面ホテルから視線をずらす効果につながった。
地域の環境・景観・歴史|都市風景との関係づくり
12階コミュニティ
屋上庭園
都市風景との呼応
東京都中央区の商業地域には、敷地境界ぎりぎりに迫る建物に三方囲まれた土地が多く、本敷地も例外ではない。40mを超える高層ビルとしてこうした密集地で居住空間を提供することになる本プロジェクト。設計初期、周辺ビルからの俯瞰的な観察と考察を重ねた。スタンドポイントを上げるにつれ、ひと区画離れた「鍛冶橋通り」が本敷地に飛び込むように迫り、脇をすり抜けて行く! その脇にかつて江戸有数のお堀・八丁堀の存在を強く想起させるこの発見は、変哲の無い土地の潜在力を一気に引き上げた。外観の印象づくり、住戸計画、ランドスケーププランから開口部処理に至る様々な次元でこの関係性を大切にしている。
SHINKA概要
賃貸集合住宅|住戸数|24戸
テナント|3区画
コミュニティ|スカイテラス&イベントホール
トランクルーム|8区画
企画・設計・統括|長谷川建築デザインオフィス
施工|辰
構造設計|西薗構造事務所
設備設計|ZO設計室
音響設計|昭和音響
ランドスケープ|ソラアソシエーツ
避難ハッチを感じさせない軒裏納まり
→ ハッチ幅にスリットを造形し消去る
リボンウインドウを陰影で際立てる
→ ガラス手摺面とタイル面の面ゾロを成し、サッシの水切り皿板をサッシで終えずに手摺へと延長するディーテールを施す。ステンレスの庇が自由な立面を強調すべく影をつくる。
Inner frameによる印象づくり
周辺のアウトフレームマンション群。カーテンウオールのオフィス群とも趣を異にする意匠として、柱梁に外観が影響されず住戸の多様性をファサードに映し出す。セットバックした杉板型枠打放の主構造フレームが際立つよう、梁の両脇にスリット化して照明を格納。1階から最上階へと屹立する様子が夕刻に浮かび上がる。
性能と意匠|防音・断熱・遮光
★【静けさ】づくり|T3の防音レベルを全開口部に徹底。
都市賃貸の性能価値向上。
★南面開口部には全て庇を設置|夏至の南中時に開口部
全体が影に。強度を持たせ外壁メンテ上の足がかりに
もなる。
地下構造物との課題解決
-- 杭を含めた架構計画 --
地下24mで敷地を横切るJR京葉線。シールドへの厳しい荷重制限のある土地。分布荷重制限のみならず、集中荷重への制限がとりわけ厳しい。課題解決として、シールドチューブに鉛直荷重をあたえないよう規制範囲に片持ちではねだす平・断面構成。また、この領域を採光上のライトウェルとし、窓先空地や避難通路も同時解決。キャンティ部は地下のピットからスタート。シールド直近の規制を受ける短杭部の摩擦力減少を補うべく対角側の杭を深くふんばらせ引抜に耐える。
街・住処・コミュニティの閾への配慮
キャンティ部分を庇空間として活用し長いアプローチで穏やかな車椅子勾配を成した。ピアノが運べる大型エレベーターもあいまって、実際、車椅子の音楽家が、居住域だけでなく、屋上庭園、地下ホールを楽しみ、最大限の自立生活を満喫している。
Solution
A
都市との対話|Urban elementを借景した開口部
12階|屋上庭園|都市の動脈として24時間営みをやめない都市風景は、揺れうごめくイルミネーションのよう。
B
歴史との対話|今はなき江戸・八丁堀の記憶
11階|SOHO|オフィスミーティングスペースからテラスを見通す。江戸期は美しい水路であった八丁堀は今は無く、当時の脇道が受け継がれ強い都市構造を担っている。この軸線に呼応するプランで視界を遥か遠方に抜き、近隣のホテルやオフィスと視線の交錯を緩和している。
屋上庭園|夏の昼景
【大きな家具としてのデッキ空間】
寝ころぶ・もたれる・座るなどリビングに居るような自由な姿勢での寛ぎを提供する
仲間と楽しむ・自分だけの時間を愉しむ
賃貸共同住宅の共用部として最上階にしつらえたレストスペース。都市居住者の求めるさりげないコミュニティ・独りの時間を楽しめる場所としての屋外空間。在宅ワークの息抜き空間としても大いに活用されている。
⬆️ ガラススクリーンは延焼エリアを避け、枠を用いず
厚ガラスとバックマリオンで風圧に抗う。鋼管は耐火
塗料仕上。軒天井はアルミパネル。
屋上庭園|秋の夕暮れ
生活価値・ライフスタイルに応える場所
住人が自由に憩える屋上階。都市の騒音とソラの広がりを感じられる場所。周辺に多数存在する30mビルの散らかった屋上を視線からカットし主に超高層を借景する。鳥が雑草の種子を運んで来る。
11階オフィスフロア|11階 SOHO
淡いグリーンの結晶ガラススクリーンは水廻り。シャワーブースを設置し、SOHO利用にも応え暮らせるワークスペース。
SHINKA|10階 |プレミアム
SHINKA|10階 |プレミアム
都市交通をイルミネーションのように借景するコンセプトは全ての住戸に採用。正面ビジネスホテルの視覚的な圧迫感を緩和させている。
↑
都市を眺めるカウンターコーナーのあるアイランドキッチン。
24時間活動を止めない道路の風景は見飽きない。
↑
都市を眺めるカウンターコーナーのあるアイランドキッチン。
24時間活動を止めない道路の風景は見飽きない。
↑
都市を眺めるカウンターコーナーのあるアイランドキッチン。
24時間活動を止めない道路の風景は見飽きない。
←
自然通風と採光が豊かなバスルーム。バルコニーに面したプラン。
SHINKA 11階~8階
素材の響きあい
無垢な材料の組合わせ
音楽モチーフのオクターブを受けて8種の樹種によるアンサンブル効果を床板に託す。ソリッドなコンクリートの素材感との響き合い。
素材の響きあい
↑
2号室
防音室タイプ|シアタールームとして使用中の例
↑
2号室
防音室タイプ|シアタールームとして使用中の例
↑
2号室
防音室タイプ|シアタールームとして使用中の例
↑
2号室
防音室タイプ|シアタールームとして使用中の例
↑
2号室
防音室タイプ|シアタールームとして使用中の例
防音室が与えてくれる新たなライフスタイル
SHINKA
3階~7階
性能のデザイン手法
軽運動・ヨガ・ホビー・映画干渉など、通常の居室ではかなわない音や振動を伴う
アクティビティを受入れる。ホームオフィスとして使用する住人も多い。
乳幼児を育てている世帯も。
一戸一戸に防音測定
科学的客観的なデータで検証するために、残響音測定用多面スピーカーや床衝撃マシーンなどを用いて部屋の響き、防音性能を確認し、部屋相互の
差分を測定する。
軽運動・ヨガ・ホビー・映画干渉など、通常の居室ではかなわない音や振動を伴う
アクティビティを受入れる。ホームオフィスとして使用する住人も多い。
乳幼児を育てている世帯も。
建物と街を結ぶテナントゾーン
SHINKA 1・2階テナント
賃貸集合住宅は街を暗くする。駐輪場・避難階段・駐車場などが道路面を占める。
このエリアはかつてオフィス街で、低層部にお店も存在したが、集合住宅への建替えにより活気
が失われた。街路に華やかさをもたらせる仕掛けとしても、テナントが有効であると判断した。
地元住人、近隣オフィスワーカー、SHINKA住人の交流が生まれている。
行き交う人々を映し出すステンレスマリオンは円形に凹んだ特殊形状。
凹んだ正面は鏡面仕上、他はバイブレーション仕上で不思議な映込みが生じる。一方バックマリオンは無垢のスチールでリン酸処理の漆黒な存在。
住人のプライバシーとパブリック性の両立
1階
地階
テナント・ホールなどの賑わいづくりの一方で住人生活の落着きを担保すべく奥まった場所にエントランスを設けている
➡️
ステンレスの2B材
シルバー左官
真鍮、亜鉛塗装
ライムストーン
などのマテリアル
地下ホール|表アプローチ階段
鍵盤のように靴音が変化する段板は、
全てが異なる受種の国産材で調達した無垢の厚板。
音楽ホール、アプローチの序章を奏でる。
アプローチの階段からは、中の様子が垣間見える。
ほのかにもれ聴こえる音に誘われて道すがら行き交う方々が集う。
地域住民も集うイベントホール・ささやかな地域文化の開花
地階
SHINKA HALL
迫力ある大きな背景づくりは、演奏者の影が干渉しづらい映像処理。イベントを多様に演出する。
SHINKA HALL
Solution
長谷川建築デザインオフィス
Hasegawa Design JP
東京都中央区新川2-19-8 SHINKA11階
web|www.interactive-concept.co.jp/
mail|interactive-concept@co.email.ne.jp
Tel: 03-3523-6063